- ジャンル
- 小説
- ISBN
- 978-4-434-18693-6
- ページ数
- 232ページ
- 判型
- 上製本 四六判
- 発売日
- 2013年12月27日
- 価格
- 定価1,320円(本体価格1,200円)
- 分類コード
- 0093
2000年8月4日、KとMがふと高層マンションの一室から飛び降りた。
その後も同じような自殺が相継ぐ。
そこにはMCという音楽が残されていた。
この事件が12年後形をかえて現れてくる。
2012年8月5日に、新堂栄吉が結婚式場で殺された。また数日経って、荒川区町屋のマンションで糸由太一が殺された。この何の共通項のない事件が意外なところで結びつく。
音楽会社JMLに勤める高岡三郎は、ある事件がもとでこのような部署を割り振られている。あと定年も二年弱あたりで恙無い会社人生を送ろうとしている。その事件とは「マインド・オブ・カントリー」というアルバムを作りだしたことが契機となった。妙寺健と加羅純一に始まった飛び降り自殺が、波及効果を呼び覚ましたのか、同じ種類の事件が続いて3件起こった。その若者がすべてMCを聴きながら自殺したのであった。
高岡三郎がこの事件の顛末を思い出したのは、所属の沖野耕作がこの古い話を聞かせてほしいと頼んだからだった。
また田辺信吾は、一連のこの飛び降り自殺を何らかの関係ありと規定した。自らの著書「ボーン・トゥ ・キル」は妙寺健の事を書いている。
妙寺健とは浅草を根城にする悪だった。舎弟をかなり大がかりに抱え、土地のヤクザとの抗争を繰りひろげていた。
そんなある日のこと、田辺信吾に梅木から連絡が入る。面白い人間がいるとのことだった。田辺信吾はよくよく話を聞いて、糸由太一という若者が危険な状態にあることを知る。