- ジャンル
- 小説
- ISBN
- 978-4-86741-199-5
- ページ数
- 604ページ
- 判型
- 並製本 四六判
- 発売日
- 2023年9月7日
- 価格
- 定価2,200円(本体価格2,000円)
- 分類コード
- 0093
源氏物語の作者、紫式部の初々しい少女時代と斎院出仕。ここでの友情と淡い恋が若き紫式部を育ててゆく。かたや清少納言は中宮定子の「一の女房」になろうと躍起になっていた。定子は一条天皇の寵愛あつく、父藤原道隆の威勢をバックに隆盛を極めていたが…
〈本文より抜粋〉
これは藤原香子(のちの紫式部)さまに仕える乳母で、菊野と申します。平安の昔、都にきら星のごとき公卿・有職が満ち、一条天皇の御世の栄華を愉しんでおられたころ、為時様(香子さまの父君)は、散位失職の身をかこっていらっしゃいました。為時様は実直がとりえの漢学者、家にあっては良き父でございますが、官界を遊泳するの術にはうとく、ともすれば逼塞する家計...。それゆえに宮仕えに出たのが香子さまでございます。わが姫の背を押して出仕を決意させたのは「一万株たれ」、つまり「一万株ほども梅の花を排き、輝け」という言葉で、これは具平親王から頂いた餞の言葉でございます。お仕え先は斎院選子さま。閑静な紫野で、風雅の境地にいらっしゃるこの御方にお仕えしたことが、香子さまの行く末を決めることになりました。さのみならず、そこで出会った朋輩が生涯の友として香子さまの心を支えてゆくことにもなりました。
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