- ジャンル
- 小説
- ISBN
- 978-4-86741-200-8
- ページ数
- 624ページ
- 判型
- 並製本 四六判
- 発売日
- 2023年9月24日
- 価格
- 定価2,200円(本体価格2,000円)
- 分類コード
- 0093
中宮定子の父藤原道隆の死、天然痘による公卿の相次ぐ死去。関白・内覧の権力は定子方から逸れて道兼、道長へと移っていった。定子は窮地に追い込まれ、清少納言の「誠」も試される。そして枕草子は定子の心を書き残すものへと…
〈本文より抜粋〉
源経房でございます。清少納言の御許が、敵方(道長様方)に内通したと憶測されて、爪弾きにされたのは痛ましいことでございました。世をすねて引き籠もったこの有職(芸道にすぐれる者)を埋もれさすまじと、この経房は考えました。たびたび訪うては、その心底を聞き、中宮への忠誠の厚いことを知りました。かたや、もはや中宮方に戻れぬものならば、書き進む草子をもって伝手とし、あらたな仕え先を求めようとしていることも知りました。道長様に『枕草子』をお目にかけたところ、怜悧な御方ゆえにその意味するところを覚り「かほどに中宮を慕い仰ぐ女房を、わがむすめ彰子付きの女房にはさせられぬ、清少納言は中宮に再出仕させるように」と仰せでした。これが『枕草子』の跋に「左中将、まだ『伊勢守』ときこえし時、里におはしたりしに、端の方なりし畳をさし出でしものは、この草子載りて出でにけり。…それより、歩き初めたるなめり」と残る、未定稿『枕草子』漏洩の経緯でございます。
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