- ジャンル
- 小説
- ISBN
- 978-4-434-11485-4
- ページ数
- 342ページ
- 判型
- 並製本 B6判
- 発売日
- 2008年1月30日
- 価格
- 定価1,760円(本体価格1,600円)
カルタゴの将軍ハンニバルは、第二次ポエニ戦争でローマ帝国と戦い、後一歩まで追い詰めた人物とされる。
第一次ポエニ戦争でローマに敗れた将軍を父に持ち、そこから大国ローマへの復讐を一族の宿願として誓い、英才教育を受けた青年期。実際に将軍となり、有名な「アルプス越え」など、奇想天外な発想で革命的戦術を編み出し、歴史に残る英雄として名を馳せた壮年期。戦後、祖国カルタゴに戻り、政治家として一時代を築くも、最終的にその身を追われ、寂しく自害を遂げた老年期。
それらハンニバルの生涯を、綿密な調査と研究により描き出した歴史書として、本書は国内でも稀有の存在である。また、その躍動感溢れる描写は、純粋なエンターテイメント小説としても、脳裏にまるで映画のようなイメージの数々を浮かび上がらせ、読者を飽きさせることなく古代ローマの世界へと導いてくれるだろう。
さらに、本書ではカリスマ性に満ちたハンニバルの、これまで描かれてこなかった人物像にもスポットを当てている。
優れた戦術家であり、また政治家であった彼は、いかにしてリーダーに成り得たのか。人材・人心の把握、天候や敵の心理の掌握、ユーモアも交えた弁舌、獅子身中の虫とも言える同国内での派閥争い、危機管理など、現代でも通用するリーダーへの指南書としても読み応えがある。
同時に、家族との絆を大事にする姿は、昨今失われつつある父親としての威厳も教えてくれるだろう。