ブイツーソリューション出版案内 V2-Solution BOOKS

近年，中国の改革開放の進展に伴い，中国都市部では社区組織が急速に拡大してきている。ほぼ全国の都市で社区組織が設立されるに至り，注目されるようになった。社区組織は住民の自治組織と呼ばれ，世界各国での非営利組織の台頭に伴い、その影響の下に設立されている。社区組織は改革開放がもたらした「市場における失敗の側面」と「政治における失敗の側面」の補助手段として，いろいろな非営利の社会的サービスを行い，社会変動の中で大きな役割を果たしている。
しかし，社区組織はなせ急速に拡大したのだろうか。社会主義体制で形成する住民の自治組織は西側諸国の資本主義体制における非営利組織の組織形態と同質のものといえるだろうか。社区組織の発展は現代中国社会において如何なる意義を持つだろうか。
本論文では，世界的規模での非営利組織の拡大との関連及び中国の都市における「社区」組織の成立と展開を踏まえて，「社区」組織形態の発展と欧米の非営利組織のそれとを比較し分析する。そして，欧米の非営利組織を育ってきた市民社会の変遷と現代市民社会の特徴を分析する。それと対照させながら，現代中国における非営利組織の成長環境及び社区組織の役割と問題点を国家と市民社会の対立構造のもとに分析する。これによって，社区組織は経済と政治の矛盾を内包する社会構造の中で不均衡的な発展を示すことを析出し、中国の下部組織である社区組織の活動は未来中国の市民社会の発展を推進する作用があること指摘する。
(「はじめに」より)

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